Twitterのbotをつくるとき、気をつけるべきこと



第一条 ロボットは人間に危害を加えてはならない。また、その危険を看過することによって、人間に危害を及ぼしてはならない。
第二条 ロボットは人間にあたえられた命令に服従しなければならない。ただし、あたえられた命令が、第一条に反する場合は、この限りでない。
第三条 ロボットは、前掲第一条および第二条に反するおそれのないかぎり、自己をまもらなければならない。

愛されないbotに意味はあるのでしょうか?

いきなり結論

愛されないbotはツイートを無視されるし、宣伝やSEO等の役にも立たず、マイナスの存在でしかないかわいそうな存在です。そういうbotを産み出してはいけません。
(ここでいうbot人工無能などの機能のあるスクリプトだけでなく、一定の文言を自動的にツイートするスクリプトを含みます。)


Twitterbotで一番やりがちな失敗は、ハッシュタグを使うことです。
Twitterbotは、ハッシュタグを使うべきではありません。

私の立ち位置

OTTAbot (ウェブサイト)という、クラシック専門ラジオOTTAVATBS HD運営)の非公式botを運営しています。


2010年1月に運営をはじめたので、運営開始から1年強です。
oauthの部分は、twitteroauth(過去記事)というライブラリを利用していますが、外部のサービスは基本的に利用せず自力で開発しています。

Twitterのルール

「スパム行為とみなす決定をする際に考慮する事項」

Twitterbotをつくる場合は、Twitterルールをよく確認して、抵触しないように開発する必要があります。
特に「スパム行為とみなす決定をする際に考慮する事項」はよく注意しましょう(考慮ですから、1つだけで直ちにスパムに該当するわけではありませんが、マイナスの要素にはなります)。



短時間に多数のユーザーをフォローした場合
短期間に、特に自動化された手段で、フォローおよびフォローの解除をした場合(過剰にフォロワーを増減する行為)
フォロワーを増やしたり、自分のプロフィールを注目させるなどの目的でフォローおよびフォローの解除を繰り返した場合
フォローしている人数に比べ、フォローされている人数がごく少ない場合
つぶやきの更新が、主にリンクのみで作られており、人的でない場合
誤解されやすいリンク(ツイート内容とは関係ないリンク)を投稿した場合
多数の人にブロックされている場合
そのアカウントに対し、多くのスパムの苦情がある場合
重複した内容を、複数アカウントから投稿したり、ひとつのアカウントで重複した投稿を複数した場合
「#」(ハッシュタグ)を使用し、そのトピックとは関係のない投稿を複数した場合
トレンドや、人気のトピックに向けて関係のない投稿を複数した場合
多数のユーザー向けに、同じ内容の@付投稿をした場合
サービスやリンクを多数の人に送信しようと、一方的な@付投稿を多数のユーザーに送った場合
サービスやリンクをスパムする目的で多数の無関連ユーザーをリストに追加した場合
出所を明示せずに他のユーザーのコンテンツを再投稿した場合
過剰に他者をフォローしてフォロワーを沢山作る方策を通し、フォロワーを「売る」行為を企てた場合
「フォロワー獲得」などをうたうサードパーティのサイトを利用したり、促進したりすること(フォロワートレインや、「フォロワー急増」を約束するサイト、その他自動的に自分のアカウントにフォロワーを追加するようなサイトなど)
不正あるいは誤解を招く場所名と緯度・経度情報のマッピングデータを作成、追加した場合
不正アカウントの作成やスパム行為を行う目的で所名と緯度・経度情報のマッピングデータを作成、追加した場合

太字にした箇所は、特に初期のbotが抵触しやすいポイントです
(他の部分は明らかにルール違反なので、大丈夫でしょうが……いちおう気をつけましょうね)


以上のルールの他にも、Twitterでは、自動化に関するルールと留意点を公開しています。
以下、特に抵触しそうな箇所を抜粋しますが、原文を必ず直接読んでください。

自動@の禁止



自動化し、不要なメッセージを多くのユーザーの@返信タ ブに表示することは、この便利な機能の不正利用だと考えます。大量のユーザーに宛てて自動的に@返信でメッセージを送信している場合、受け取る人はこの行為を事前にリクエストまたは認証しなくてはなりません。例えば、キーワード検索に基づいて@返信を自動的に送ることは許可されていません。

よくありますね、キーワード検索に基づいて@を飛ばしてくるbot。これ、禁止されています。
リクエスト・認証を行ったアカウントに対してのみ許されます。

自動リツイートの禁止



特定のキーワードに基づき自動リツイートはしないよう推奨しています。また、そのような行為をしたアカウントは、特にリツイートされたユーザーから頻繁にブロックやスパム報告をされた場合、凍結または永久停止いたします。

これも自動@の禁止と同じですね。
ちなみにここでいう自動リツイートとは、非公式RTのみならず、公式RT含むと考えられます。注意しましょう。

自動フォローの禁止



Twitter が許可している自動フォロー行為は、自動フォロー返し(フォローしてくれたユーザーをフォローする)のみです。自動フォロー解除も許可していません

自動的に行うフォロー・リムーブ(フォロー解除)は原則禁止されています。
例外的に自動フォロー返しのみ許容されています。


botの場合、手作業でやる他は、自動フォロー返ししかできないわけです。

気軽につくれるTwitterbot

twittbottwitter ボットジェネレーター)というウェブサービスがあります。
プログラムやサーバに関する知識がなくてもTwitterbotを運営できる素敵なサービスで、実際13,000以上のbotがこのサービスにより動いています。


その他、ツィ坊などのアプリもあるようです。


これらは「気軽につくれる」というすばらしさの反面、プログラムをしないという仕様上、どうしても一定の台詞をあらかじめ用意して、一定間隔でまたは順番にツイートしていく比較的シンプルなbotとなります。
このため、なにも考えずにこれらのサービスを使ってbotをつくると、上記Twitterのルールに違反することはもちろん、利用者に不愉快な思いを与えるSPAMツールになる危険があります。
(これは、悪いのはbot運営者であって、サービス運営者ではありません。サービスでは、Twitterルールに違反するようなbotの生成を制限しています。しかし後述するように、URLやハッシュタグの付加は一定の制限を加えるとよりいいですね)

botハッシュタグは必要か

botハッシュタグは必要ないと思います。
(ただし、そのbot専用のハッシュタグは除きます)


ハッシュタグは、一定のトピック(話題)に関するツイートをグループ分けするため、検索できるようにつけるタグです。つまり、人が一定のトピック(話題)を共有・分類するために使うものであって、自分のツイートを他の人に知ってもらうために使うものではありません


既に述べたとおり、Twitterも「「#」(ハッシュタグ)を使用し、そのトピックとは関係のない投稿を複数した場合」をSPAMにあたる行為とする一要素と定義しています。ここで「関係」の程度が問題になりますが、上記見地から、一応の関係があるだけでは足りず実質的な関係が必要と考えます。


例えば、 #ottava というクラシック専門ラジオOTTAVAのトピック(話題)を話すハッシュタグがありますが、このハッシュタグを使ってある特定のクラシック音楽の作曲家のCDの情報を、OTTAVAの番組内容と関係なく流した場合はどうでしょうか。
一応の関係はありますが、トピック(話題)という点からみるとこれを「共有」するという要素はなく、実質的な関係は欠くことになります。したがってSPAMと評価できると思います。


botの場合、基本的に話題をつくることはできません
ですから、ハッシュタグを使う必要性がないのみならず、使った場合はSPAM行為と考えるべきです。


ただ、そのbot専用のハッシュタグをつくって、つける場合は許されるでしょう。
もしかしたら、話題の起点になることはあるかもしれません。
その他、botハッシュタグを上手に使っている例があれば教えてください。

以上の結論にたどり着いた経緯

SPAM判定に敏感だったこと

OTTAbotは、OTTAVAの番組で流れた曲名と作曲家、放送時間と詳細情報のリンクをツイートするというシンプルなbotです。したがって「つぶやきの更新が、主にリンクのみで作られており、人的でない場合」にあたり、TwitterSPAMと判断される危険があると思っていました。実際、開始当初Twitterの検索から除外されていた時期もあります。


なにぶん苦労してつくったbotなので、SPAMと評価されることを極めて警戒していました。そこで、botに人格を付与する代わりに自ら手動でそれっぽいことをツイートするという荒業を行いました。それが思いのほか好評で、順調にフォロワーを増やすことができました。
結局、情報だけでは人の心は動かないんです。「愛」とか「感情」とかそういう要素って本当に大事なんだなぁと実感しました。今はもうSPAM判定される危険はないのですが、そうやってできたリスナーさんとの関係を今はとても大事にして変わらずbotとしてつぶやいています(笑)

自分がハッシュタグをつけそうになったこと

にもかかわらず、ツイートに #ottava というハッシュタグをつけるかつけまいかだいぶ迷いました。


便利なサービスだし、つけても構わないだろ?という思いと、既にこのハッシュタグを使っている人でOTTAbotを使いたくない人やフォローした人にとってはかえって邪魔になるんじゃないだろうかという迷い。悩んだ結果、つけるのをやめました。


数ヵ月後、同種のbotが登場し、ハッシュタグをつけてツイートしたのですが、リスナーさんから猛反発を受けてハッシュタグを取り除く結果となりました。スタートでつまずいた結果、運営は継続しているもののフォロワーも増えず、寂しい状況になっていると思います。


自動フォロー禁止だし、ハッシュタグもつけなければどうやって宣伝するんだ?!と首を傾げる向きもあると思います。しかし、そこは私のようにbotとしてつぶやいてみるとか(この時ハッシュタグをつけるのは構わないと思います)、手作業で数人興味を持ってくれそうな人をフォローしてそこからのクチコミに期待するとか、様子をみながら少しづつ育てていく他ないと思います。少なくとも、スタートで大ごけするよりマシです。

SPAMツイートへの対処法

Twitterへの「スパムとして報告」ボタンを押す

Twitterのウェブ画面や一部クライアントにボタンがあります。
このボタンを押すと、スパムチームがアカウントの調査を行ないます。


ただこのボタンが有効に働いたことは、経験上あまりありません。
ちなみにメールサポートに問い合せても上のボタンを案内されます。ただこのときは直後にSPAMアカウントが凍結されていました。

利用サービスを確認し、通報する

各ツイートの個別ページを開くと、○分前という表記の右横に○から((例)webから)という表記があります。
SPAMツイートは、上で紹介したようなbot生成サービスを使っている場合が多いのすが、この表記から利用しているサービスを確認できることがあります。
確認できた場合は、そのサービスの運営元に通報して停止してもらいましょう。

関係先に通報する

今回、遭遇したSPAMアカウントは、Twitterに凍結されても再度別アカウントで同じようなツイートを繰り返したのでこの方法を使いました。
宣伝系のSPAMツイートは、URLが大抵含まれ、URLの先には必要な情報が入っています。


ここに大抵加盟している業界団体や監督官庁に関する情報があります。
その上で、当該アカウントで迷惑行為をしていること、この行為がTwitterで禁止されている民事上違法な行為であることを説明し、対処法を教えて欲しいと相談すると、適切な対応を受けられる可能性があります。
Twitterに通報するよりも抜本的な対策となる可能性が高いです(リアルな経済活動に影響を与えるからでしょう)。

まとめ

どんなbotであれ、つくるには相当の手間がかかるものです。
せっかくつくるのであれば、愛されるbotを。


愛されるbotをつくるには、最低限のルールを確認した上で、実際に楽しんでくれる人とコミュニケーションしながらどんどん手直しをしていくこと。
botを技術的につくることよりも重要でかつ難しいことだと思います。


※今回のTwitterルールは2011年4月4日現在の情報に基づき作成しました。最新のルールは原文をあたってください。